第1回配信

理想をかたちにする
第2回配信

レイアウトのコツ
第3回配信

必要な機器の選定ポイント
第4回配信

完成までの工程を追う
第5回配信

これからのシアターに必要なもの
第6回配信

さあ!ホームシアターを作ろう。

1からわかるホームシアターづくり <2011年改訂版>
         − 第5回:これからのシアターに必要なものとは−

ホームシアターはいつまでもひとつの形を保ち続けるものでなく、一旦完成したあとも、ライフスタイルや嗜好の変化、機器の進化によってどんどんかたちを変えていくものだ。常に理想の環境を実現するためにも、ホームシアターをつくる際は今後の拡張性まで視野に入れておいたほうが良い。そこで第5回目となる今回は、これからのホームシアターで重要となってくる設備などについてみていこう。

■拡張性
マルチチャンネルサラウンドへの対応

Blu-rayなど次世代ディスクでは、ドルビーTrueHDやDTS-HDなど、7.1ch以上のサラウンドフォーマットが採用されている。ホームシアターの醍醐味は大画面高画質映像を楽しむとともに、映像にあった音響効果を目いっぱい楽しむところにある。こういったソースを楽しむためにも、マルチチャンネルサラウンドの再生への対応はしておいた方がよいだろう。具体的には、7.1chアナログ出力対応のAVアンプを購入することなどが挙げられる。最近ではフロントハイトスピーカーの設置によるサラウンドも楽しめる機種もある。

ネットワーク機能への対応

iPhoneやiTunesのミュージックライブラリーをダイレクトに再生できる話題の「AirPlay」を標準装備したモデル、DLNA準拠のミュージックプレーヤー機能、インターネットラジオの再生など、AVアンプの括りからプレーヤーとしての機能をはたす所謂「AVアンプ」に着目していきたい。

DENON「AVR-3312」
pioneer「VSA-921 」


スピーカーを設置しておくことも欠かせない。スタンドを使用したオーソドックスな置き方に加え、埋め込む、家具などに入れ込んで隠蔽する…などなど、最適な設置方法を探ろう。

埋め込み式スピーカーはスマートなリビングシアターための強い味方だ

リビングシアターの場合、これからは他の居室とのHDDデーターの共有を考慮した準備が必須だ。リビングで録画したコンテンツを他の居室で楽しめる時代がきました。またNASに保存した音楽データーをお好きな部屋へ配信する家庭内ネットワークオーディオの時代の到来でもあります。準備を怠らず家全体でのシステムを組んでおく必要があるだろう。また、TVとプロジェクターの2wayで楽しむ場合の、HDMI2出力機能は抑えておきたい。また、3Dで楽しむ場合は、HDMI VR1.4対応のモデルとケーブルを使用の事。

また、埋め込みスピーカーを活用すれば、リビングでもスピーカーの置き場所を気にすることなく気軽にサラウンドを楽しむことができる。

家庭内LANの必要性

有線LANを各部屋に引いておくことも大切だろう。今後ホームシアター機器にとってスタンダードになっていくと考えられるホームネットワークのためのガイドライン「DLNA」というものがある。松下電器やソニー、マイクロソフトなど加盟各社の機器が互いに互換性を持ち、機器間のネットワークが可能になるというものだ。LAN経由で対応機器内のコンテンツを各部屋に配信することも可能。つまり家庭内LANの環境さえ整っていれば、リビングのレコーダーに録り貯めたコピーワンスのハイビジョン映像を寝室のテレビで観る、という楽しみ方も実現できるのだ。

無線LANでも家庭内ネットワークを構築することは可能だが、現在の規格(IEEE802.11aやIEEE802.11g)だとハイビジョン映像の伝送には帯域が足りない。300Mbpsまでの伝送が可能な「IEEE802.11n」も登場している。また、電力線を利用してネットワークを構築する「高速電力線通信(PLC)」は、伝送速度などの安定性にまだ不安が残るし、HomePlug、UPA、HD-PLCなど規格も乱立している。まだ過渡期にある方式だと言えるだろう。

家庭内LANは、ホームシアターの新しい楽しみ方や可能性を広げてくれる存在だ。家庭内LANを構築する場合、ハブやルーター、ケーブルなどをどう配置するかはとても大切な問題となってくる。特に新築の場合は、これらの配置をするためにさける自由度が高いため、施工の際はLANについて考慮に入れておくことをお薦めしたい。

トムテックの浅田氏も「これからは通信設備の設置もインストーラーの大事な役割になると考え、いろいろ勉強をしています」と語る。知識とノウハウを持つインストーラーに、気軽に相談してみよう。


■効果的なクオリティアップのために
ホームシアターの効果的なクオリティアップのためには、まず自分のシアタールームにどういう不満を持っていて、それをどうしたいのか、そしてその不満はどういう原因から発生しているのかを突き止めることが必要だ。使用している機器自体に原因がある場合もあるが、床や壁などシアタールームの環境に原因がある場合も少なくない。たとえば壁の吸音性が高すぎて音がくぐもったり、遮光や拡散光対策が不十分なため映像のコントラストが低下するなどといった現象がおこることもあるのだ。こういった場合は、接点のクリーニングや振動対策アクセサリーの導入など、簡単な作業で大きな効果があがることもある。

勿論インストーラーに相談するのも方法のひとつ。定期的に相談を持ちかけ、問題点を洗い出したり、改善策を練り上げたりしよう。

いよいよ最終回となる次回は、今までの内容をまとめ、ホームシアターづくりのいろいろを総覧してみよう。